ロシア美女から「あなたにお金を払う」と言われて250ドルを稼いだ話

「私たちはあなたのブログと協力したいです。あなたにお金を払う。興味がありますか?」
フェイスブックで突然、めちゃくちゃ怪しいメッセージが届いた。
ロシア語だろうか。
差出人の名前には、アルファベットのように見えて、
アルファベットではない文字が使われている。
プロフィールの写真は、透明感のある白い肌に青い目、少し青みがかかった銀髪の美しい女性。
ファイナルファンタジーに出てきそうな美女である。
興味ある。めちゃくちゃ興味ある!
普通に暮らしていれば絶対に知り合うことのないロシア美女が、
アフィリエイターというこれまた怪しい職業の日本人に、
「あなたにお金を払う」と言うのだから。
でもこれは、絶対に返信してはいけないやつだ。
「お金をきちんと送金したいので」とか言って、クレジットカード情報や個人情報をフィッシングされるに違いない。
1日5分で月収100万円、寝ながら稼げる、秒速で1億円稼ぐ男⋯⋯。
今まで何度騙されてきたことか。
アフィリエイターをなめるな。
「詐欺なのか、詐欺じゃないのか」を見極める力は、人一倍ある。
「お問い合わせ頂きありがとうございます。協力とは、具体的にどのようなことでしょうか?」
僕は秒で返信していた。
返信してから、「あっ、これは絶対に返信してはいけないやつだった」と思った。
いや、正直に言うとそれも嘘だ。
ロシア美女から「あなたにお金を払う」と言われた時点で、
僕の気持ちはとても高揚していた。
今まで何度も騙されてきた男だ。
僕をなめるな。
2度あることは3度ある。3度あることは何度でもある。
ロシア美女が僕にお金を払いたいと言っているのだ。
もしお金をもらえなかったとしても、今のところ僕が損する要素はない。
「返信しなかったら、僕はそのことを一生後悔する」
そう思った。
返事はすぐに来た。
「私たちはIT会社です。自分のサービスがあります。今、私たちは日本インターネットに自分サービスを見せたい。あなたのブログにも記事を発行したい。それは出来ますか? もちろん、私たちはあなたにお金を払う」
なんと! またも「あなたにお金を払う」との文言が!
今まで「お金を稼げる」と言われて1円も稼げなかったことはあるが、
「お金を払う」と言われて1円も支払われなかったことはない。たぶん。
「あなたにお金を払う」と2回も言う人が、お金を払わないことなんて絶対にあるわけがない。
アフィリエイターの僕をなめるな。
「お金を払う」という文言に対する免疫はゼロだ。
ただ、「私たち」というのが気がかりだった。
相手はもう、ファイナルファンタジーに出てきそうなロシア美女ではなく、
ロシアのIT企業となってしまったのだ。
ロシア美女から「お金を払うから協力してほしい」と言われるのと、
ロシアのIT企業から「金を払うから協力しろ」と言われるのとは全然違う。
「自分のサービス」とは、一体何なのだろうか。
もしここで断ったら、僕はどうなってしまうのだろうか。
もう既に僕の身元はばれていて、KGBに監視されているのかもしれない。
誰にも会わず、誰とも話さず、1日中パソコンにしがみついている僕にとって、
「ロシアのIT企業」はパワーワード過ぎる。
「知らないうちにロシアの国家機密に触れてしまい、訳も分からずに命を狙われている自分」
という妄想を本気でしていると、
「サービスのウェブサイトこちらです」と、URLが送られてきた。
「この先はウイルスかもしれないし、フィッシング詐欺かもしれない・・・・・・」
なんてことは1ミリしか考えないのが僕だ。
「危機管理能力がまったくないね」とよく言われることを誇りに思っている。
リンク先は、日本語のサイトだった。
「2Captcha」というサービスを提供していて、それを日本に売り込みたいのだと言う。
そのために、僕のブログで記事を書いて、サービスを紹介してほしいとのこと。
お安い御用である。
「あなたの価格は何ですか?」と聞かれたので、
「50,000円です」と強気に答えたら、
「これは約440ドルですか? 250ドルはどうですか?」
と強気に値切られた。
それでもかなりいい条件だ。
お金になるかどうかわからない記事を、ひたすら書き続けるのがアフィリエイターの仕事。
記事を書くだけでお金を頂けるなんて、これほどありがたいことはない。
記事は丁寧に書き上げた。
250ドル以上の仕事は十分したと思う。
「記事を公開致しました」と連絡すると、
「はい、どこへお金を送りますか」と秒で返事が来た。
PayPalのアカウントを送ると、その日のうちに250ドルを送金して頂けた。
ほら、僕が思った通り、詐欺ではなかった。
アフィリエイターをなめるな。
「詐欺なのか、詐欺じゃないのか」を見極める力は人一倍あるのだ。
