【ネタバレ注意】映画『サバイバルファミリー』のあらすじ

ある日、突然電気が使えなくなってしまった東京。
電車は止まり、車もエンジンがかからない。
ガス、水道、ゴミ収集とあらゆるインフラがストップし、スーパーの棚からは食糧が消える。
一週間経っても復旧する気配はなく、水も食糧も底をつき始めていた鈴木家。
鈴木家の父・義之は、妻の実家がある鹿児島へと、家族で向かうことを決意する。
サバイバルファミリーのあらすじ
停電の前日
東京で暮らすごく普通のサラリーマン家庭、鈴木家。
仕事から帰った父・義之(小日向文世)は、テレビを見ながらご飯を食べ、ビールを飲んでいる。
妻の光恵(深津絵里)は、鹿児島の実家から届いた魚をさばけず困惑。
「ねぇ、これやってくれない?」と夫に助けを求めるも、「いや、俺はいいよ」とテレビを見たまま振り返りもしない義之。
そんな母親を横目に、高校生の娘・結衣(葵わかな)はペプシコーラを飲みながら、「誰も食べないんだから、もう送らないでって言えば?」と口に出す。
大学生の息子・賢司(泉澤祐希)は、ファーストフードを食べながら帰宅。
ヘッドフォンで音楽を聴きながら、家族と一言も話さないまま部屋に入ってしまった。
部屋に入るなりパソコンを開き、スマホで電話しながら黒板の写メをPCのメールで送る賢司。
結衣も自分の部屋へ入り、友達とのグループLINEに忙しい。
止まらない通知に嫌気を感じながらも、スマホを充電につなぐ。
光恵は洗い物をしながら、子供たちの携帯代について夫に相談。
しかし義之は、「疲れてんだよ。明日にしてくれ」とそっけなく寝室へと入ってしまう。
停電1日目
翌朝、義之は自然に目覚める。
慌てて窓の外を見るとすっかり明るいが、目覚まし時計が指しているのは3時過ぎ。
どうやら寝ている間に止まってしまったようだ。
「おい、いま何時だ?」と、イライラした口調で妻に聞く義之。
光恵もイライラしながら、「それが、わからないのよ」と答える。
冷蔵庫の電気は止まり、照明も点かず、テレビも見られない。
充電していたはずのスマホの電源も入らず、電池まで使えなくなっている様子。
ただの停電ではなさそうだが、義之・賢司・結衣の3人は慌てて家を出る。
しかし、マンションのエレベーターは止まり、電車もストップ。
車のエンジンもかからず、タクシーも動かない。
義之は仕方なく、歩いて会社に向かう。
一方で、自転車通学の賢司には何の影響もなかった。
それどころか信号が止まり、車が走っていないため、自転車にとってはいつもより快適である。
途方に暮れるオジサンたちに見られながら、気まずそうに自転車を走らせる賢司であった。
歩いて会社にたどり着いた義之であったが、今度は入口の自動ドアが開かない。
自動ドアのガラスを割って中に入るも、パソコンも電話も使えないのではまったく仕事にならない。
「決算報告書が間に合わないとか、そんなん絶対ありえないからな」と仕事の心配をする義之であったが、その日は会社から早退命令が出て帰宅することに。
自宅へ帰る途中、義之は44,800円の値札がついた自転車を見つける。
価格に躊躇するが、別の客が入って来たため慌てて購入する。
夜になっても電気は復旧せず、夕食はカセットコンロで温めたレトルト食品で済ませた鈴木家。
義之はろうそくの明かりを頼りに、持ち帰った仕事に取りかかっている。
ベランダに出た光恵は、「ちょっとあなた」と夫に呼びかける。
義之は返事もせずに黙々と仕事を進め、仕事の目処がついたところでベランダに出る。
ちょうど部屋から出てきた賢司と結衣に、「あなたたちもこっち来なさいよ」と呼びかける光恵。
家族4人並んでベランダから夜空を見ると、満天の星が輝いていた。
「こういうのも、たまにはいいわよねぇ」と光恵がつぶやく。
光恵の実家、鹿児島へ向かうことを決意
次の日も、その次の日も停電が続く東京。
電気だけでなくガスも水も出なくなり、スーパーの棚は空っぽ。
ゴミ収集も止まり、道路はゴミであふれていく。
停電が始まって一週間。
電気が復旧する気配はまったくない。
このままでは数日ももたないと、義之はついに光恵の実家、鹿児島に向かうことを決心する。
羽田空港まで自転車で向かい、飛行機で鹿児島に飛ぶ計画。
娘の結衣は猛反発するも、義之は「俺についてくれば何とかなる」と自信を見せる。
そんな義之をいかにも不安そうな目で見る光恵であった。
電気がないと、銀行のATMからお金を引き出すことも、クレジットカードを使うこともできない。
そのため、航空券は現金で買うしかないが、ここで役に立つのが光恵のへそくり。
たくさんの現金を持って、マンションの住民に気づかれないようにコッソリと家を出る。
賢司の自転車、光恵の自転車、そして義之が44,800円で買った自転車の3台で、鈴木家の4人は羽田空港へ出発。
義之の後ろに座る光恵は、夫婦での二人乗りに嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
羽田空港への道中、500mlのミネラルウォーターが1本1,000円で売られていた。
「ダメだダメだ、あんなぼったくり」と義之はスルーするが、先へ進めば進むほど価格は上がっていく。
立ち寄ったコンビニでは、1本2,500円にまで高騰していた。
水を買うことを決断できない義之。
そんな夫を前に、光恵は「これ全部買うから、1本600円にしてよ」と交渉する。
こうして水を手に入れ、公園で休憩する鈴木家。
賢司は一人で公園内をぶらつき、池の魚を獲って干物にしているホームレスを目撃。
公衆トイレを使おうとした結衣は、強烈なニオイと衝撃的な光景にショックを受ける。
仕方なく外で用を済ませ、一家は再び羽田空港へと向かった。
羽田空港に着くと、フェンスの周りに人がごった返していた。
飛行機は飛んでなく、立入禁止となっていたのだ。
日も暮れ始めたため、その日は近くのカプセルホテルに宿泊することに。
ホテルも当然電気はつかないが、宿泊費は一人3万円。
ろうそくの明かりを灯した部屋の中で、義之は自転車で鹿児島まで行くことを決断する。
「なーんか、こうなるような気がしてたんだぁ」と口にする光恵。
それを聞いて義之は舌打ちし、「なんだよ、だったら早く言えよ」とイラ立つのであった。
東名高速に乗って西を目指す
鹿児島まで自転車で行くとなると、3台では厳しい。
翌日はまず自転車を探しに行くが、案の定、どこにもない。
光恵は、「大阪から向こうは停電してない」という噂を耳にする。
歩いてる人が言ってたという話を、「ほら見ろ。西に向かえば間違いないって言ったろ」と信じ込む義之。
「でもどうやってそんな噂が、大阪からこっちまで伝わってきたの?」と、光恵は半信半疑であった。
そんな話をしながら歩いていると、米穀店の裏に置いてある自転車が義之の目に入った。
米穀店には米を求める人々が並び、食糧との物々交換が行われていた。
高級時計を持ってきた男性は、「そんなの何の役に立つの」と追い返されてしまう。
義之と光恵は、自転車を譲ってもらおうと交渉する。
義之が現金と水を出しても動じなかった店主であったが、光恵が酒を差し出すと表情が変わった。
こうして酒と引き換えに、自転車と米を手に入れる。
「あとはひたすら鹿児島に向かって走るだけ」と思いきや、今度は道に迷ってしまう。
ブックオフで見つけた地図は、古くて使いものにならなかった。
またしてもイラ立つ義之であったが、光恵が道を示す。
東名高速の看板だ。
高速道路なら、地図がなくても西へ向かえる。
一家は自転車で、東名高速に乗った。
ここからが、本格的なサバイバルの始まりである。